伊予松山城はラビリンス(写真は松山城天守)


松山城平山城に分類されるので、本丸に行くためにはある程度の高さの山を登らねばなりません。というわけでロープウェイが設置されて観光客の便を図っているのですが、今日は日曜日なので非常に混んでいました。ところがここの面白いところは、スキー場にある一人乗りリフトを併設している為、年齢などの条件を満たせば、こちらで上に上がることもできる点です。それなりに晴れているとはいえ、まだ早春なので寒さを敬遠しているのか、全く並んでおらず、おらは喜び勇んでリフトに乗ることにしました。
雪の積もらないところをリフトに乗るのは初体験なので、なかなか面白かったのですが、反対側をリフトに乗って降りてくる人がいるのには驚かされました。スキー場でたまに見かけますけど、あまり経験することはできないしろものですからね。残念ながら帰りは徒歩で下山しなくてはいけないので、おらは体験することはできませんでしたが。リフトから下りると、ロープウェイに乗ってきた人や登山道から登ってきた人と合流するようにちょっとした広さの休憩場のように広場が整備されていました。登山道できたらここでゆっくりとお茶でも飲むんですが、特に疲れてもいないので、いよいよ本丸へと向かいます。
この城の特徴は『心理的トリック』をうまく利用した造りで、道なりに進んでいくと天守への最短ルートに見える道に出ますが、これは実は行き止まり。本当の道は途中で折り返しになっていてまっすぐ進んで行ったら後ろから襲われてしまうという仕組みから始まり、L字型の石垣の門の影に隠れた出入り口があって横から攻撃されてしまう仕組み、門を抜けたら目の前に横一列に鉄砲が狙っているように配置された櫓など、本丸広場に行くだけでずいぶん、手こずらされてしまいます。
本丸広場に入っても、天守自体が櫓と廊下に囲まれた造りなので、本丸の中にさらに小さな本丸があるようになっています。ちなみにこの小さな本丸の部分は『本壇』と呼ぶそうです。先日、行った熊本城も実戦本位の城でしたが、こちらも負けず劣らずの造りだと感心させられました。
本壇に入り、何回も折れ曲がりながらようやく天守に着きましたが、さすがに現存12天守の一つ。中はどこも急階段で、うっかりしてるとコートの裾を踏んでしまいそうになります。スペースが限られていることと、一度にたくさんの人間が上がってこれないようにしている為ですが、手すりがないと転げ落ちそうなほどです。中は板張りで通路に甲冑や刀剣が展示されているのは、どこの城でもお約束ですね。面白そうだったのは甲冑の試着コーナーというのがありましたが、先客がいたのと時間がなかったのでパスせざるをえなかったのが残念でした。
天守の開放は17時までなので、外に出て今度は裏門の方を見に行きます。裏門にもしっかりと工夫がされており、門をくぐるときは3方向を櫓に囲まれている上、そこを抜けても天守と挟み撃ちにするように独立した櫓が横に建てられており、隙を見せません。これで工事用の車両がなければ、景観的に完ぺきだったのですが、どうやらライトアップ用の車両らしく、文句をつけるにもつけられない感じでした。ライトアップも見どころの一つですからね。
本丸広場に戻り、7分咲きくらいの梅の花天守を組み合わせて写真を撮ったりしながら、沈む夕日を撮る為、本丸広場で過ごしていました。帰りは現在、史跡庭園として整備が進んでいる二の丸側に降りる為、裏門から徒歩で下山。日が落ちて本当に真っ暗になりそうな山の中を降りて行くのは中々、骨が折れましたが、どうにか麓の二の丸に出ることができました。そこまで行けば、あとは道なりに三の丸のほうへ出るので、そこから市電で道後温泉に戻りました。